ロジクールのトラックボール、M575SPとMX ERGO Sで迷っている人は多いはずです。価格差は約2倍なのに、見た目はほとんど同じ。レビューを読み漁っても「どちらも良い」で終わっていて、決め手が見つからない。そんな状態でこのページにたどり着いたと思います。

僕はブログ歴6年目で、本業は製造業の総務課とシステム部の兼務です。勤怠データのExcelと社内Webアプリの画面を1日じゅう行き来していて、マウスに触れている時間は平日8時間、副業を含めると1日10時間ほど。M575SPもMX ERGO Sも自腹で買い、いまも両方をデスクに置いています。メインで残したのはMX ERGO Sです。ただし、全員にMX ERGO Sを勧める気はありません。使う時間と予算で答えは変わります。

  • スペック表では見えない、20度傾斜の効き目と手のフィット感の違い
  • 2倍の価格差を「時給」に割り戻すとどうなるか
  • 騒音計で測ったクリック音の実測値(メーカーの謳い文句とは違う結果でした)
MX ERGO S(黒)とERGO M575SP(白)を上から並べた比較
黒がMX ERGO S、白がM575SP。上から見ると形はそっくりです

判断軸は2つだけです。1日6時間以上座るならMX ERGO S。初トラックボール・1日1〜3時間・予算1万円以内ならM575SP。この軸で読めば、あとは裏付けの確認になります。

結論:M575SPとMX ERGO Sはどっちを選ぶべきか

使い方別の早見表です。10秒で「自分はどっち寄りか」がわかります。

※ ◎=特におすすめ/○=おすすめ/△=条件付きで可

こんな使い方M575SPMX ERGO S理由
初めてのトラックボール 合わなかったときのダメージが小さい価格で試せる
1日6時間以上のデスクワーク 20度傾斜で前腕の捻れが減り、夕方の肩の重さが変わる
ExcelやFigmaなど精密作業が多い プレシジョンモードで押している間だけ低速にできる
持ち運び・サブ機 145gと軽く、カバンに入れても苦にならない
複数PCを行き来する 3台切替+Flow対応。M575SPは2台まで
充電・ケーブルが嫌い 単三電池1本で約24ヶ月。電池を替えるだけ
予算は1万円以内 M575SPは7,000円台から。MX ERGO Sは13,000円前後

「MX ERGO S寄りだな」と感じたなら、価格差は長時間使う負担を減らすための投資と割り切って構いません。「M575SP寄り」なら、無理に背伸びしなくても満足度は十分高いです。

そもそもマウスとトラックボールのどちらが自分に合うのか、から整理したい場合は、こちらの比較記事が先です。

M575SPとMX ERGO Sの基本スペック比較表

2026年9月時点のスペックと実勢価格です。同じロジクールの親指トラックボールでも、設計の方向がかなり違います。

MX ERGO SとERGO M575SPのパッケージを並べた比較
MX ERGO SとERGO M575SPの裏面(底面)を並べた比較

1枚目がパッケージ、2枚目が底面です。底面のラベルや接続ボタンまで、見た目の作りはよく似ています。

比較項目M575SPMX ERGO S
実勢価格 約7,000〜9,000円約13,000〜15,000円
ボタン数5ボタン 8ボタン
角度調整 なし(平置きのみ) 0度/20度切り替え
精密モード なし プレシジョンモード
重量 約145g(公式)約259g(公式・傾斜プレート込み)/自宅の実測264g
電源単三電池1本(約24ヶ月) USB-C充電(1分で1日/フル充電で最長4ヶ月)
接続方式Bluetooth/Logi BoltBluetooth/Logi Bolt
マルチデバイス2台切替 3台切替+Flow対応
クリック音(実測)約41〜49dBA約40〜51dBA
ボール着脱底面の穴から指で押し出す底面の穴から。別売スティックがあると一瞬
ソフトウェアLogi Options+Logi Options+

差が出るのは角度調整・プレシジョンモード・ボタン数・マルチデバイスの4点です。この4点が、長時間使う人ほどMX ERGO Sに価値が出る理由になります。一方、静音性は「M575SPが上」とは言えませんでした。この件は後の節で実測値を出します。

価格と維持費を比較|長く使うほど差は縮まる

実勢価格の差は約6,000〜7,000円です。ガジェットは数年使うものなので、3年使う前提で月割りにします。

項目M575SPMX ERGO S
本体価格(実勢)約8,000円約14,000円
3年使った場合の月割り約222円/月約389円/月
電池・充電コスト単三電池1〜2本/3年USB-C充電のみ(電気代は誤差)
差額(月あたり)—+約167円/月

月167円は缶コーヒー1本より安い金額です。1日6時間、月21日使うと稼働は約126時間なので、1時間あたり約1.3円の追加投資になります。長時間使う人にとって、価格はほぼ論点になりません。

逆に1日1〜2時間しか触らないなら、この計算は逆転します。使用時間が短い人はM575SPのほうが合理的です。

判断のコツ:価格差を「1日の使用時間×稼働日数×3年」で割ってみてください。1時間あたり数円なら、買って後悔する額ではありません。

使い心地で比較|20度傾斜と手のフィット感が決定的に違う

スペック表で一番効くのが、地味に見える角度調整の行です。MX ERGO Sは底面のメタルプレートを磁石で着脱でき、外すと0度、付けると20度に傾きます。M575SPは平置きのみで角度は付きません。

角度0度のMX ERGO SとM575SPを横から見た比較
20度に傾けたMX ERGO SとM575SPの側面比較

1枚目が0度、2枚目が20度です。2枚目のほうが、MX ERGO Sの手前側が持ち上がっているのがわかります。

MX ERGO Sの傾斜プレートを取り外したところ
傾斜プレートは磁石でパチッと外れます。外せば0度、付ければ20度

20度に傾けると、手のひらが真下を向く状態(回内)から、握手のときの角度に近づきます。前腕の2本の骨が捻れたままになるのを避ける姿勢です。効果は1日の終わりの前腕と肩の重さに出ます。

僕はMX Master 3を5年使った人間で、あの握り心地は今でも好きです。それでも夕方には肩が重くなっていました。MX ERGO Sに替えてから、その重さはほぼ出なくなりました。乗り換えの経緯は別記事に書いています。

握ったときの姿勢は、写真のほうが早く伝わります。MX ERGO Sを握った手元がこちらです。

MX ERGO Sを握ったときの側面の手のフィット感
20度に傾けて握った状態。手首が返らず、自然に手が乗ります

M575SPの握り心地も上質です。こちらは手のひらがぺたっと全面で乗る形で、手首から先を預けるように使います。平置きでも肩に来ない人は、角度調整が要らないケースもあります。

手のひらを乗せて使うERGO M575SPを上から見た様子
親指でトラックボールを操作するERGO M575SPの使用シーン

M575SPの握りと親指操作です。

家電量販店で両方を触れるなら、MX ERGO Sは20度に傾けた状態で30秒以上握ってみてください。カタログでは伝わらない違和感のなさが、そこでわかります。

重さと安定感:実測264g

MX ERGO Sを自宅のはかりに乗せたところ、傾斜プレートを付けた状態で264gでした。公式値の約259gとほぼ一致します。M575SPの約145gと並べると、倍近い重さです。

タニタのはかりで計量するMX ERGO Sの重さ
実測264g。デスクに置きっぱなしなら、この重さがそのままズレにくさになります

据え置きなら、重いほうがクリック中にマウス本体がズレません。持ち運ぶ用途では、この重さがそのままデメリットになります。

操作精度・カスタマイズ性で比較

  • M575SP:左右クリック・ホイール・進む/戻るの5ボタン
  • MX ERGO S:上記に加え、プレシジョンモード切替・水平スクロール・ジェスチャー対応の8ボタン
MX ERGO S上面のスクロールホイールと各種ボタン
MX ERGO Sの上面。ホイール周りにボタンが集まっています

一番効くのがプレシジョンモードです。ボタンを押している間だけカーソル速度が落ちて、ピクセル単位で動かせます。Figmaの位置合わせ、Excelの罫線揃え、動画のタイムライン調整のように「あと数ピクセル」を詰める場面で使います。

Logi Options+で各ボタンに好きな動作を割り当てられるのは両機種共通ですが、ボタンが多いMX ERGO Sのほうが割り当てる余地は広いです。僕はプレシジョンボタンを使いつつ、別のボタンにmacOSのMission Control(ウィンドウ一覧)を割り当てて、ウィンドウ移動をトラックボール側だけで済ませています。設定例はこちらにまとめました。

マルチデバイスも差が出ます。MX ERGO Sは3台まで切り替えられ、Logicool Flowを使えばPC間でカーソルが地続きになり、コピーしたテキストや画像も受け渡せます。MacとWindowsを並行して使う人は、この機能だけで価格差を回収できます。M575SPは2台までです。

静音性・電源・掃除の手間で比較

クリック音は騒音計で実測した

「M575SPは静音モデルだから、MX ERGO Sより静か」と思い込んでいたので、確かめるために騒音計で測りました。結果は、M575SPが約41〜49dBA、MX ERGO Sが約40〜51dBA。ほぼ同水準です。

【静音トラックボール比較】MX ERGO S / M575SP / BUFFALO BSTBB700 のクリック音・操作音を騒音計で実測検証!

M575SPのほうが押し心地が軽快、という程度の差です。静音性を理由にM575SPを選ぶ必要はありません。会議中や夜に使う場合も、どちらを選んでも気にならない範囲でした。

電源:電池のM575SP、充電のMX ERGO S

M575SPは単三電池1本で約24ヶ月。電池ボックスにUSBレシーバーも収納できるので、持ち運びでも紛失しません。

ERGO M575SPの電池ボックスに単3電池とUSBレシーバーを収めたところ
M575SPは電池ボックスの中にレシーバーを収納できます

MX ERGO SはUSB-C充電で、フル充電なら最長4ヶ月、1分の充電で約1日使えます。1日10時間使う僕の環境でも2〜3ヶ月は持つので、充電の面倒はほとんど感じません。

MX ERGO S側面のUSB-C充電ポート

ボール掃除:MX ERGO Sは別売スティックで楽になる

トラックボールは、使っていると裏のセンサー周りにホコリや皮脂がたまってカーソルが引っかかります。MX ERGO Sは底面の穴から指でボールを押し出せますが、僕は別売のボール取り出しスティックを使っています。穴に差し込むだけでボールが外れて、先端が磁石なので落としません。

MX ERGO Sと別売のボール取り出しスティック
スティックは本体に付属しません。別売で数百円台です
スティックでボールを外したMX ERGO Sのソケット
MX ERGO Sのトラックボールを外したセンサー部

掃除の頻度は、毎日使って2〜3週間に1回が目安です。カーソルがカクついたらサインです。M575SPも底面の穴から指で押し出す方式で、慣れれば1分かかりません。MX ERGO Sを買うなら、スティックは最初から一緒にカゴへ入れておくのがおすすめです。

M575SPがおすすめな人

M575SPを選ぶべき人
  • トラックボールが初めてで、まず合うか確かめたい
  • 1日のマウス操作が1〜3時間程度
  • カバンに入れて持ち運ぶサブ機がほしい
  • 充電ケーブルが面倒で、電池運用がいい
  • 予算は1万円以内
  • 手のひら全体を預けるタイプの握りが好き
木目デスクに置いたERGO M575SPの斜め前からの全体
M575SP。ブルーのボールと、なだらかな曲線が特徴です

M575SPは、親指トラックボールの基本を全部入れた定番機です。普通のマウスから乗り換えるだけで、肩と手首の負担はかなり減ります。1万円以内でトラックボールに入るなら、これ以上の選択肢はありません。実機レビューは画像つきで詳しく書いています。

MX ERGO Sがおすすめな人

MX ERGO Sを選ぶべき人
  • 1日6時間以上デスクに座っている
  • 肩こり・手首の疲れがある
  • Excel・Figma・動画編集など精密作業が多い
  • MacとWindowsなど複数PCを行き来する
  • 1〜2万円のガジェットを数年使う前提で判断できる
  • 据え置きで使う(持ち運ばない)
MX ERGO Sを正面から見た本体とlogiロゴ
MX ERGO S。ロジクール現行の上位トラックボールです

MX ERGO Sは「20度傾斜・プレシジョンモード・Flow・3台切替」が積み上がった上位機です。長時間使うほど価格差ぶんの機能差が効きます。購入レビューでは、触感とLogi Options+の設定例まで書いています。

僕がMX ERGO Sをメインに残した理由

本業で平日8時間、副業のブログ運営で平日にプラス2時間、土日も執筆で4〜5時間。1日平均10時間はトラックボールを握っている計算です。この使用量だと、20度傾斜とプレシジョンモードが、そのまま作業の疲れと精度に返ってきます。

リライト作業、Figmaでのアイキャッチ作り、会社の集計表のExcel。「あと数ピクセル」の場面で、無意識にプレシジョンボタンを押すクセが付きました。このクセがついたので、メイン機をM575SPに戻すことはありません。

ちなみに、通常マウスのMX MASTER 3SとMX ERGO Sを並べた写真です。通常マウスからの乗り換えでサイズ感が不安な人の参考になります。

MX ERGO SとMX MASTER 3Sを横から並べた比較
MX ERGO SとMX MASTER 3Sを両手に持って比べたところ

M575SPは手放さず、会議用のノートPCにつなぎっぱなしにしています。軽くて電池運用なので、置きっぱなしのサブ機に向いています。メインはMX ERGO S、サブはM575SP。両方を使い込んだ結果、この組み合わせに落ち着きました。

3つ目の選択肢:バッファローBSTBB700Xも見ておく

2026年9月に、バッファロー初のトラックボール BSTBB700X が出ました。高速スクロールホイールと横スクロールを備え、価格は約6,990円。M575SPには無い機能を積んだモデルです。手が小さめの人にはサイズも合います。M575SPかMX ERGO Sで迷っている人は、こちらも比較対象に入れてください。

よくある質問(FAQ)

初めてのトラックボールでも、いきなりMX ERGO Sを買って大丈夫?

1万円台前半の出費に納得できるなら問題ありません。最初から角度調整と8ボタンに慣れるほうが、後から買い替える手間もかかりません。トラックボール自体が合うか不安な人は、M575SPで試してから乗り換えるのが安全です。

M575SPのほうが静かって本当?

騒音計で測ったところ、M575SPが約41〜49dBA、MX ERGO Sが約40〜51dBAでほぼ同水準でした。静音性を理由に選ぶほどの差はありません。

MX ERGO Sの充電はどのくらい持つ?

公式はフル充電で最長4ヶ月。1日10時間使う僕の環境で2〜3ヶ月です。1分の充電で約1日使える急速充電にも対応しています。

M575SPからMX ERGO Sへの乗り換えは違和感ある?

ほぼありません。同じ親指トラックボールで、ボールの位置と操作感の根本は共通です。慣れが要るのは、20度傾斜とプレシジョンボタンを使う習慣くらいです。

ボールの掃除はどのくらいの頻度で必要?

毎日使う場合で2〜3週間に1回が目安です。カーソルがカクつき始めたら掃除のサインです。MX ERGO Sは別売のスティックを使うと数十秒で終わります。

会社の経費で買えますか?

10万円未満の事務機器なので、多くの会社で消耗品費として処理できる金額帯です。在宅勤務手当や備品購入の制度があれば、稟議を上げる価値はあります。取り扱いは自社の経理ルールに従ってください。

まとめ:使う時間と予算で選べば、どちらも後悔しない

  • 1日6時間以上座る/肩こりがある/精密作業が多い → MX ERGO S
  • 初めてのトラックボール/使用時間が短い/予算1万円以内/持ち運びたい → M575SP
  • 本格的に使い込みたい → メインMX ERGO S+サブM575SP

クリック音は実測でほぼ同じ、価格差は3年で月167円。決め手は使用時間と、20度傾斜・プレシジョンモード・3台切替が要るかどうかの3点です。

迷ったまま決められないなら、長時間使う前提でMX ERGO Sをおすすめします。使うほど価格差は気にならなくなり、毎日の作業の疲れ方が変わるからです。

コスパと軽さを優先するなら、M575SPも定番であり続けるだけの実力があります。

マウスと一緒に、長時間作業に向くキーボードを選びたい人は、こちらも参考にしてください。

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